妊娠&出産をまもる法律
男女雇用機会均等法での母性保護
現在の男女雇用機会均等法には、通院のための休暇、健康管理のための休暇、育児休暇が定められています。
ただし、男女雇用機会均等法の定めは「努めなければいけない」ことであり、労働基準法の定めに比較して、強制力は薄く、努力を促すような言い回しです。
このため実際の運用は、雇用者の考え方や取り組み方次第、職場によって大きな格差があるのが現実。
今の時代どこの企業も女性の労働力は無視できないものがあり、結婚、出産で退社した女性の再雇用や、パート社員の正社員登用に取り組む企業も徐々に増えてきています。
通院のための休暇については、妊娠中および出産後1年、産科医を受診できるよう、事業主の配慮が求められています。
健康管理のための措置については、妊産婦に対する時差通勤、勤務時聞短縮、残業免除、業務軽減するなどの配慮が求められています。
また、必要に応じて、育児休業の実施も求められています。
どこまで有効とみなされるかは各企業の体質によるところも大きいですが、一日も早く多くの女性が妊娠や出産を仕事上のマイナスイメージだけに囚われない社会が実現されることを願います。
育児のための休暇&休暇中の解雇制限
労働基準法には、育児のための休暇、休暇中の解雇制限についての決まりがあります。
1年を経過しない女性、すなわち生後1年未満の赤ちゃんがいる母親は、1日2回、少なくとも30分ずつ、育児のための休憩時聞を請求することができます。
これはもちろん、通常の労働者に認められている休憩時間に、追加して与えられる権利です。
この育児のための休憩時間というのは、そもそもは授乳時聞を想定して定められたものです。
現実問題としては、自宅や保育所と職場が近接していなければ、勤務時間中に休憩時間を取って授乳するのは無理です。
出社時刻を1時間遅らせるとか、1時間早く退社できるようにするなど、実際には勤務時間の前後で対応しているケースが多いようです。
また、倒産などの場合を除き、妊産婦の産前産後の休暇中、およびその後30日間は、雇用者が妊産婦を解雇することは禁じられています。
ただし、結婚退職が当たり前であったような職場では妊娠の発覚同時に自主退社を促すような雰囲気になることもまだまだあるのが現実です。
道は険しいかもしれませんが交渉しながら権利を主張していく努力も、ときには必要になります。
危険有害業務の禁止
労働基準法には以下のような決まりがあります
使用者は、妊産婦を重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない」。
つまり、雇用者は、妊娠中の女性や出産後1年を経過しない女性を、上記のような危険な仕事をさせてはいけないということです。
また、労働基準法の定めはそれだけではありません。
「使用者は、妊娠中の女子が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない」。
つまり、危険な仕事でなかったとしても、妊産婦が請求することでより負担のない仕事に変えてもらうことができるわけです。
実際その職場の前例や環境で、法律がどの程度尊重されるかは異なることでしょう。
どの程度の仕事なら問題ないのか?仕事を変えたほうがよいのか?
不安があれば、産科医に相談した上で、必要があれば診断書を書いてもらい、職場とうまく交渉しましょう。
産前&産後の休暇
妊産婦は産前6週間、産後8週間の休暇をとることができるよう、労働基準法に定められています。
ただし、産前の休暇と産後の休暇では、ニュアンスが若干異なります。
産前の休暇については「使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、10週間)以内に出産する予定の女子が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない」と規定されています。
産前の休暇は妊婦の請求に基ずくわけです。
産後の休暇については「使用者は、産後8週間を経過しない女子を就業させてはならない。
ただし、産後6週間を経過した女子が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない」となっています。
産後の休暇は強制的なものであり、早めに仕事に戻りたいときに、産婦が請求するものです。
実際、あなたの職場でどのような運用がされているか、まずは確認しましょう。先輩の女性従業員に現実的なところを尋ねるのもよいでしょう。
産前産後どちらも妊婦さん、そして赤ちゃんには極めて大切な時期です。
できるだけ休暇をとることをお勧めします。
法律と母性保護
働きながらの出産や育児がいかに大変かということは、社会的にも考慮されつつあります。
少しずつではありますが、妊娠や出産、そして育児にたずさわる働く女性を守るために、労働基準法や男女雇用機会均等法で、母性保護の制度が定められています。
ただし、法律で定められているといっても、業種や個々の職場によって、母性保護に対する理解の違いがあり、その対応状況は実にさまざま。
実際のところ、その法律が優先され、気持ちよく使われている職場はごく一部かもしれません。。
それでも、このような制度をしっかり理解して、できるだけ活用していってほしいのです。
それはあなた自身のためになるばかりでなく、今現在、そして将来の働く他の女性たちの良き前例となって欲しいからです。。
労働基準法で保護されているものには、産前と産後の休暇、危険有害業務の禁止、育児のための休暇、休暇中の解雇制限があります。
男女雇用機会均等法で保護されているものには、通院のための休暇、健康管理のための措置、育児休業があります。法的優遇策をふりかざすことなく、周囲の人との理解を深めて欲しいのです。